2006年9月9日土曜日

日本国憲法

青空文庫というWebサイトをご存じだろうか?ネット上の電子図書館だ。そこで面白い書物を見つけた。旧文部省が1947年、日本国憲法の公布直後、中学1年生用社会科教科書として発行した『あたらしい憲法のはなし』だ。これは、是非皆さんに読んで欲しいと強く思った。平易な言葉と文章で、実に分りやすく現憲法の内容を解説してくれている。辛酸をなめ尽くした太平洋戦争がようやく終わり、新しい国を創っていくという希望に満ちた想いが行間にあふれている。今の政治家、文部省の役人こそ、もう一度読み返すべきなのかも知れない。

この9月は自民党の総裁選挙ということで、マスコミはこぞってその趨勢を報道している。九分九厘、阿倍晋三というタカ派の政治家が、その自民党総裁の椅子に座るという情勢だそうだ。自民党内の各グループが、いわば翼賛化しているらしいので、既に決着はついているのかも知れない。

その阿倍晋三氏のキャッチコピーが「美しい国、日本。いま、新たな国づくりの時」だそうな。見た目は「美しい」が、その「味付け」は苦いものになるのでは?今は「醜い日本」なのだろうか?もし、そうなら、それは彼自身や彼の父親も含め、今まで政権を握り続けていた政治家集団にこそ、その責があるのではないか?政権構想の最初に憲法改正をあげているが、その方向性は今までの発言などから想像するに、どうもきな臭い方に向いているように見える。国民個々の尊厳より、国家の尊厳が重視されることになりはしないか?世情というのは、本当に川の流れの如しだ。大雨という危機が来ると、逆らいようがない激流となって、全てのものを押し流してしまう。怖い怖い。実に怖い。

今、『憲法九条を世界遺産に』という本が売れていると言う。太田光と中沢新一との対論らしい。ちょっと興味を引かれる本だ。明日にでも手に入れてみようと思っている。新政権誕生とともに、この今でも充分に「美しい日本」に秋風が吹かぬ事を祈っておきたい。

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