2009年4月29日水曜日

山岳遭難

北アルプス鳴沢岳で、京都府立大山岳部のOBも含めメンバー3人が遭難死してしまいました。実に悔やまれる結果になってしまいました。

京都府立大山岳部は力量のあるアルピニストを出していて、訓練や様々なバックアップ体制もしっかりしている部です。今回のパーティーのリーダーは山域を熟知していた先生だったにもかかわらず、最悪の結果になってしまったのは、まさに荒天の山が如何に凶暴な姿を見せるかを示した例だと思います。

他の二名の部員も各季節の山行を重ねていて、一番若い女子学生も山岳部の主将という役割を担える実力を持った人だったのです。装備、計画には遭難を予期させるような瑕疵は見当たらないのではとも思われます。ただ冬に逆戻りしたような荒天以外は。

吹雪いたのか、霙だったのか、雨だったのか、とにかく体力を猛烈に奪ってしまう気象状態の中で行動せざるを得なかったか、行動してしまったとしか考えられない気がします。遭難経緯の調査は大学と山岳部、山岳会によって今後なされていくでしょうから、原因の究明はそれを待つしかありません。

山岳遭難というとややもすると十巴ひとからげに非難される事が多い昨今ですが、登山というものは、きちんとそれぞれの季節に対応した訓練や対策をもってしても、命の危険を百パーセント回避する事は出来ない行為だと私は考えています。いくら事前準備をしっかりしていても、自然相手では、思わぬ事態が起きてしまう。そんな中で、回避したくとも出来ない事態が生じてしまうことがある、と。
厳冬期のマッキンレー山でついに帰らぬ人となってしまった植村直己という偉大な冒険家ですら、厳冬期の気象の中で、何らかのアクシデントに見舞われてしまうのです。そうしたリスクも承知の上に成り立つのが、登山も含めた冒険という行為だと思うのです。

本当に悔やまれる結果ですが、三人のご冥福を祈るしかありません。そして後進の部員たちが尊い命の代償を教訓にして、今後の山行に生かしていってほしいと思います。

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