2011年3月31日木曜日

歴史は繰り返す〜原子力開発と水俣病の歴史〜

専門家と言われる大学の教授達が今回の原発事故のテレビなどの解説に大勢登場しました。
その先生方のほとんどが、原発事故の現場の状態を直接見てきた訳でもないのに、放射線漏出についてこぞって「まだたいした事はありません」『微量ですから、健康上の問題はありません」等々、事故の規模を矮小化する発言に終始していました。

東大をはじめ複数の大学の先生方でしたが、大学の状況を知っていれば、それこそ専門が「原子力」関係で「権威」と呼ばれる人であればある程、東芝や日立などのメーカーや電力会社寄り、というより、べったりの発言になるであろうことは予想するまでもないことでした。中には単に「東大」という肩書きだけで出ていた人もいたようですけどねw

何故なら水俣病の原因物質メチル水銀を巡って、東大や東京工業大の医学、化学、公衆衛生分野の権威を集めた田宮委員会や厚生省が組織した研究班が、チッソが排出した工場排水から出た水銀が怪しいという熊本大学の研究班の説に対して、反論を集中的に浴びせて潰そうとした事は、水俣病に対して多少とも関心がある者にとって常識と言えるからです。

しかも今、大学は国立大学法人化され、その運営交付金は過去5年間削減され続け、そうした中で予算の競争的集中配分措置がなされています。例えばGOEやCOEなど。そして外部資金の獲得をも推奨されています。外部資金とは、文科省などの競争的研究費助成金の他に、企業などから研究資金を得るということです。これはつまり、公然とひも付き研究を推奨しているのと同じ事と言えます。東大の外部資金調達費は、全国国公私立大学中、断トツの一位です。

こうした現状で、果たして大学研究者が企業や国から束縛感を受けずに済むと思えますか?特に企業からの資金を得ている研究室であれば、そこに所属している研究者たちが企業が属する業界、もしくはその企業そのものの活動を中立的立場で物を言うとは思えませんし、言えるはずもないでしょう。研究資金引き上げにあえば、その研究室の存続さえ危ぶまれるのですからね。

水俣病の発現から年月は経過していますが、果たして大学の研究室の有り様や行政の有り様がどれほど変化したと言えるでしょうか?また大手メディアも同様です。事のはじめは権威に寄り添い広報役になり、否定出来ないようになると、掌を返し、あたかも前から住民側に立っていたような顔をするという得意技を持っています。

歴史は繰り返すと言います。

原子力開発を進める政治家や国、地方の行政機関、その中に設置される専門家による審議会、学会や企業の姿勢が、チッソ擁護に動いた当時の彼等とどれほど変化した言えるでしょうか?

住民をどう扱うかについての構図が、当時と劇的に変わっているとは、とても思えません。

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