2011年5月3日火曜日

復習の応酬に拍車か?〜ビン・ラーディン殺害〜

アルカーイダの指導者のウサーマ・ビン・ラーディンが米国の特殊部隊の急襲によって殺されたそうですね。USにとっては9.11などの復讐であり、USに敵対するイスラム勢力をテロ集団と規定し対テロ戦争を仕掛けてきた訳ですが、アフガン、イラクへは直接攻撃を仕掛け、そこの政治情勢を泥沼化に導き、安定化にはほど遠い状態を生じさせています。

なぜ一部イスラム勢力が米国をこれほどまでに敵視してきたのかを考えると、かつてソ連と米国の2大強国の覇権争いに巻き込まれ、更にパレスティナへのユダヤ人入植、イスラエル建国を通して、イスラエルを支援する欧米諸国という構図があり、またアラブ対イスラエルの数次にわたる中東戦争もあるなかで、イスラエルを陰に陽に支援し続ける軍事強大国USという憎悪が、イスラム勢力の中に醸造されていったとしても不思議ではありません。それにこの殺害によって信奉者の間でウサーマ・ビン・ラーディンは殉教者となり神格化されるでしょう。

さて、今回の殺害によってテロの脅威が減ずるかというと、それはまったく逆で、復讐の応酬戦に拍車がかかり、より過激な形を採りはしないかと懸念します。世界はもっと危険な状態、つまり今まで以上にどこでテロが起きても不思議ではなくなる可能性すらあります。

また今回の殺害にあたっては、パキスタン国内の施設に潜んでいたウサーマ・ビン・ラーディンを米国の軍が攻撃したという事ですが、何でもやるんですねぇ、米国という国は。つまりこれは仮に日本国内に米国の敵が潜んでいるとしたら、日本国内でも十分起こりうる事と考えておいた方が良さそうです。その時は、自衛隊との合同作戦ということに表向きなるのでしょうけどね?

ウサーマ・ビン・ラーディン殺害で米国民が熱狂している様子が報じられていますが、もし他国でこうした行為を平然とすることが、それらの国や周辺国に嫌悪感や憎悪を増幅させている可能性への自省がないとすれば、復讐の連鎖をほぐす糸口は永遠に訪れないと言わざるを得ません。

(追記'11.5..4)報じられるところによると、今回の作戦はパキスタンには秘密裏に行われたようです。つまり、主権侵害ですね。まぁ、今までも米国は同様の事を何回もしてきています。しかし、今回は「殺害」が目的と言えますから、アルカーイダのテロに対して「米国によるテロ」で復讐したとも言えるかもしれません。通常なら事後も極秘にしておくはずの今回の件を公にするのは、国際的に支持されると分析した結果があったのでしょう。果たして思惑通りにいくでしょうか?

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